熊谷守一の「生きるよろこび」展に行ってきました

熊谷の作品を見ていると、とにかく語彙が貧しくなります。
「ああ、いいなあ」「ほんと、いいなあ」
もちろん、あれこれ言うことはできるけど
ばかばかしくなっちゃう。

おいしいものを食べた時、
「おいしい」とひとことに言っても、
プロの作るエレガントなフランス料理の繊細なおいしさもあるし
炊きたてのごはんの「おいしい」もあります。

熊谷の絵を、「おいしさ」でたとえると
掘りたての里芋を蒸したあつあつに塩をふって
はふはふ言いながら、かぶりつくようなおいしさです。
自然にほおが緩んでしまう単純なおいしさ。

でも、その里芋が大きく、おいしくなるまでには
長い時間と、たくさんの手間がかかっています。
里芋なりに、苦労もあったかもしれないし。

1880年生まれの熊谷が、赤い輪郭線と簡略化された色と形による
独特のスタイルを作り上げたのは、
1950年代、やっと70を過ぎたころです。

生きていたいと思いますね。
わたしってしみったれですからいくつになっても命は惜しいです。
命が惜しくなかったら見事だけれど、残念だが惜しい

↑この言葉は、1976年、熊谷90歳の時のもの。
ああ、もうなんて言ったらいいか…。(←さらにボキャ貧)

(写真は、熊谷守一「生きるよろこび」展の図録です。本物にはぜんぜん及びませんけど)