「スターウォーズ/最後のジェダイ」ー光と闇の新しい物語

震災イヤー2011年秋に放映された日清カップヌードルのCMから。マスター・ヨーダかっこいい。Youtube

お正月3日に、「スターウォーズ/最後のジェダイ」を見に行ってきました。

最初にこわごわ、今まで、スターウォーズといえば、お金のかかったSFドンパチ映画、大昔から何度も使い古された、「悪と戦って勝つヒーローの物語」だと誤解していました。タイトルが「星戦争」って雑だし。儲かるから毎年量産してるだけだよね?だいたい、人が虫ケラのようにどんどん死んでいくのに、メインキャラクターは決して死なず、敵をばんばん殺して得意顔。米国らしい戦争賛美にはうんざり。というのが今まで数作を見ただけの私の、おそらく偏った、間違った意見だったわけだったのですが、今回予想外に良かったです。というわけで、ファンの方々、今まで色々とすみませんでした。

見ていない人もたくさんいるでしょうから、なるべくネタバレしないようにざっくり書きます。ハン・ソロとレイアの子供で、ルークの弟子だったにもかかわらずダークサイドに落ちてしまったカイロ・レン(ベン)の内面での光と闇の葛藤と、帝国とレジスタンスの光と闇の戦いが、ミクロコスモスとマクロコスモスの入れ子のように展開されていて、そしてそのことによって、若いレンやレイによってうっすらと示唆された、いままでの単純な「光と闇の戦い」以外の未来の可能性、また、ローズによって示された、「新しい戦いの定義」が、世界が第三次戦争を危惧している今の時代に、なんだか不思議にシンクロしているような印象を受けて、個人的に感慨深いものがあったのです。(長い文章ですみません)

キャラクターも、ひたすら悪い悪役とひたすら善良な主人公ではなく、ルークの中にも闇があり、カイロ・レンの中にも光があり、それぞれに人間らしい苦しみがあることが示されていて、それはむしろリアル。光と闇は誰の中にもあり、光だけとか、闇だけという人はいないのです。

それで、映画を見た後思い出したのが、昔読んだ解離性同一性障害(多重人格)の小説。小説の中では、分裂した複数の人格は、光サイドの人格とダークサイドの人格に分かれるみたい?でも、人格が統合する際は、どちらかの人格が消去されるのではなく、光と闇を含んだひとつの人格に「融合」されていくのです。(少なくとも私には、そんなふうに見える)

カイロ・レン役のアダム・ドライバーは、スター・ウォーズ/フォースの覚醒のときから、ちょっと屈折した、内面の葛藤のある役を魅力的に演じていましたが、今回も強い光と深い闇を両方抱えた複雑なキャラクターを表現していて、なかなか良かったです。ローズを演じたケリー・マリー・トランも、絵空事臭のする世界にリアルさを持ち込んでいて印象的でした。英国人キャストが多い中、ふたりは米国出身の俳優。アメリカ映画にも、ハンサムでも美人でもなく、強くて明るく単純なだけでない、こういうリアルな人がたくさん出てくると面白いなあ。

だいたい人間の魅力って、そのひとの偏りとか、弱さ、もろさのようなところにあるんじゃないかなあと、個人的には思うのです。最初から強いだけの人間なんてからっぽでつまらない。弱さがあるからこそ成長があるし、ほんものの強さがうまれるんだし(←偏見です)。

スターウォーズシリーズもオリジナルキャストが老化して、世代交代が必要となる中で、単純なキャストの入れ替えではなく、物語もまた類型化されたよくある話から、リアルな物語として息を吹き返したようで、これからが楽しみになりました。新しい世代は、老人の物語を引き継ぐのではなく、新しい物語を作るべきだし。

監督と脚本を担当したのは、ライアン・ジョンソン監督。次もこの監督でスターウォーズがどう変わっていくのか見たいけど、Rotten tomatoes では批評家評と観客評が分かれて、観客評価がだいぶ低かったようなので、どうなることでしょうか。 うじうじした弱小な悪役カイロ・レンと金太郎顔のローズは、今までのスターウォーズ好きにはダントツで二大嫌われキャラな気がしますし。

まあ細かいことを言うと、ツッコミどころも満載だったけど、誠実でリアルな、現在進行形の生きた物語だったんじゃないかな、というところで私は気に入りました。まだ見たことのない旧作も、見てみようかな…と、調子に乗って、帰宅後、呑みながら去年のスピン・オフ作品「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」を見たのですが、途中からぐっすり…。あれ?←

ともあれ、今日から仕事始めのみなさまも、そうでないみなさまも、フォースと共にあらんことを。

◼️ 解離性同一性障害(多重人格)についての小説「五番目のサリー」と「24人のビリー・ミリガン」
どちらも、だいぶ昔に読んだけど、人の心について考えさせられる印象的な物語でした。どちらも、ドラマ化もされた名作「アルジャーノンに花束を」を書いたダニエル・キイスの作品。サリーの方が、女性ということもあり、感情移入しやすかったかな。自分の心を守る、心の不思議な力。そういえば、3日放映のシャーロックも、自分を守るために消してしまった子供時代の記憶と、家族を取り戻す物語でした。私にも失われた記憶があると、以前弟と話していて気がつきました。それは覚えていたらとても辛いだろう記憶。気づいていないだけで、大なり小なりそういうことは誰にでもあるのかもしれません。自分を脅かす催眠術にはかからないと聞きますしね。ミラクルです、ココロ。ご兄弟姉妹がいる方は、記憶を付き合わせると発見があるかもしれません。

お題「年末年始に見たもの・読んだもの」