2017年私的ベストコンサート


関係ないけど可愛いのでロシア猫。いまさらだけど、ほぼ自分のためですが、去年の私的ベストコンサートを考えてみました。バレエとオペラも含みます。 スケジュールを1月から見直したのですが、7月より前の演奏会の印象が薄い…というわけで後半の演奏会ばかりになってしまいました。

個人的には、一昨年はプレトニョフアンスネス小曽根真さん、トリスターノなど、今でも印象の強いピアノリサイタルが多かったし、ロイヤルバレエの素晴らしい来日公演もいまだに忘れられないのですが、昨年は、ピアノとバレエは、「コレ」というのがあまりなかった代わりに、個人的にはオぺラの当たり年になりました。あと、合唱の力を再認識しました。

もちろん、いろんな事情もあって、行きたい演奏会すべてのに行ったわけではないので、行ったなかでの私的ベストです。やはり、2万超えるとちょっとねえ。バイエルン国立歌劇場も、もう1つの方の公演も行きたかったけど、行ってないし。春祭のオペラはチケット取り損ねたし。海外オケの来日公演も、自分が現地に行く派(トータルで考えると安い)なこともあり、全然行きません。N響が多いのは、安くて、上手くて、パーヴォが好きだから(笑)。パーヴォ・ヤルヴィになってからN響にしょっちゅう行くようになりました。

1位:キリル・ぺトレンコ指揮/バイエルン国立歌劇場タンホイザー

ロメオ・カステリッチのスピリチュアルな演出、美術。ぺトレンコとオケの感動的な音楽、フロリアン・フォークトの伸びやかで力強いタンホイザーと、もう文句も言葉も出ません。私にとっては、今まで見たすべてのオペラの中でも、ダントツの忘れられない舞台になりました。 全体的に「メメント:死を忘れるな」というキリスト教世界では普遍的なメッセージを強く感じました。肉体の喜びは、死を前にして無なのです。この世で結ばれることのなかった恋人たちの肉体が朽ちて灰になり、そして初めて灰として混じり合います。ハインリヒはエリザベートの愛によってとうとう救われ、死した二人は結ばれたのかもしれません。

2位:ヘルベルト・ブロムシュテット指揮/ライプチヒ・ゲヴァントハウス・オーケストラ『ドイツ・レクイエム

ブロムシュテットのエネルギッシュな指揮、ソリスト、合唱、オケ。全てが素晴らしく、ただただ感動的でした。来日公演もあって、そちらも素晴らしかったようですが、私はウィーン楽友協会ホールで聴いたせいもあって、思い出深い公演。

3位:グリゴリー・ソコロフ ピアノリサイタル

欧州を中心に、というか欧州からまず出ないため、幻のピアニストなどと呼ばれてしまうグリゴリー・ソコロフ。数年前に、はじめてDGから出たアルバムを聴いて衝撃を受け、いつか生で聴けたらいいなあと思っていたのが、実現しました。強靭なタッチ(ピアノが壊れそう…)に恐れをなしつつも、ハイドンベートーヴェンショパン、ラモーなどなど…。異次元に連れていかれました。アンコールを含めて3時間以上におよぶコンサートを、ほとんど顔の筋肉を動かさずにこなしたソコロフ。(ロシアのピアニストは、愛想がない傾向があるのでしょうか?あと、プレトニョフほどじゃないけど、ピアノの前に座ってから弾きだすのが早い)ドイツで特に人気がある、というのに、なんとなく納得しました。深い深い、地の底に、壮麗な音楽の王国があるかのよう。幻じゃなくて良かった。
曲目(自分のためにメモ)
Joseph Haydn (1732-1809)
Klaviersonate (Divertimento) Nr. 32 op. 53 Nr. 4 in g-Moll Hob. XVI:44 Klaviersonate (Divertimento) Nr. 47 op. 14 Nr. 6 in h-Moll Hob. XVI:32 Klaviersonate Nr. 49 op. 30 Nr. 2 in cis-Moll Hob. XVI:36 Ludwig van Beethoven (1770-1827)
Klaviersonate Nr. 27 e-Moll op. 90 Klaviersonate Nr. 32 c-Moll op. 111

4位:ダニエル・ハーディングバイエルン放送交響楽団 ベルク:歌劇『ヴォツェック』~3つの断片/ブルックナー交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』

実は当日は時差ぼけで、ところどころ怪しいのですが、集中力の高い演奏会でした。ベルクもすごく刺激的だったし、ブルックナーも良かった。若いアーティストがフロアで無料で演奏をしていたり、ガスタイクのモダンな雰囲気も楽しかったです。全体の記憶の大きさも含めて、やはり上位に。私より時差ぼけに強い夫によれば、これが今年の2位だそう。

5位:ヤルヴィ/N響ドン・ジョバンニ

演奏会形式ながら、オーケストラ前の狭いスぺースに長いベンチが置かれ、そこで「演技」が始まったことに新鮮な驚きがありました。病的な女好き、またはセックス中毒?のドン・ジョバンニドン・ファン)が地獄に落ちるこのオペラは、もともと半分喜劇ではあるものの、ひどく謎めいた話だなぁと思ってきましたが、なんだかドン・ジョバンニの気持ちがちょっとわかったような気がしました。自分自身が猛烈にひどい浪費家だったモーツァルト、多分博打にはまっていたのだろうと言われています。何かに病的に取り憑かれて、自分を失った人間に、どこか共感を覚えたとか?エルヴィーラも、一種の恋愛中毒だし、なんてね?歌手陣ものびのびと演じていて、とても良かったです。

6位:メナヘム・プレスラー ピアノ・リサイタル

前回の来日公演が体調のためキャンセルになってから、初の来日公演。奥様に支えられ、杖をついて歩く姿をすこしはらはらしつつ見守りましたが、ピアノの前に座った途端に、解き放たれたように自由に音楽が流れ出てきました。全体的にテンポはゆっくり目ながら、CDで聴いた通りの美しい、透き通るような自然な音。コンサートの終わりには、万雷の拍手とほとんど全員のスタンディングオベーション。マスタークラスも本人の希望でされていたと知り、驚きました。老いることは素晴らしいと思わせてくれるピアニスト。だって、老いることは未来だし、楽しみなことでもあるのです。
自分のための曲目メモ
ヘンデルシャコンヌト長調 HWV435 モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K475 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 K457 ドビュッシー:『前奏曲集第1集』から「デルフィの舞姫たち」、「帆」、「亜麻色の髪の乙女」、「沈める寺」、「ミンストレル」 ドビュッシー:レントより遅く 変ト長調 ドビュッシー:夢 ショパンマズルカ第25番 ロ短調 op.33-4 ショパンマズルカ第38番 嬰ヘ短調 op.59-3 ショパンマズルカ第45番 イ短調 op.67-4 ショパン:バラード第3番 変イ長調 op.47

7位:トゥガン・ソヒエフN響 プロコフィエフ オラトリオ『イヴァン雷帝

生で聴くのは初めてでしたが、プロコフィエフ、もともと好きではあったけど、さらに好きになりました。もともと映画のために作られた本作品、大きな意味ではこれも音楽劇です。映画では、演出に歌舞伎の見栄を取り入れたそうですが、本公演では、愛之助がしばしば歌舞伎の発声や節回しを取り入れたドラマチックな語りを見せてくれました。合唱の迫力にも、スケールの大きな音楽にも圧倒されました。しかし、合唱というか歌手の方々は、イタリア語、ドイツ語、フランス語、ロシア語まで、作品によって色々な言語で歌うの、大変でしょうねえ。すごいですねえ。

8位:デュトワ N響 オールラヴェルプログラム

デュトワは例年オペラを楽しみにしていたのですが、今年はヤルヴィがドン・ジョバンニを振ったせいか、ラヴェルストラヴィンスキーデュトワが振ると、N響が俄然カラフルに、しなやかになるのが、なんとも楽しい。ファンタジーいっぱいの夢のような音楽でした。

9位:ヤルヴィN響 ショスタコーヴィチ交響曲 第7番 ハ長調 作品60「レニングラード

こう並べると、ロシアものが多いですね。ヤルヴィは北欧エストニア出身ですが、旧ソ連時代に子供時代を、ロシアの音楽に親しんで過ごしたのかも?この曲も生で初めて聞きましたが、長い作品だけれど、とても面白かった。ショスタコーヴィッチ、好きなんです。来年はドビュッシーイヤーであると同時に、ロシア年らしいので、またロシアものに期待できそうで楽しみです。

10位は、迷ったけど、ちょっと決められないので欠番に。ラフォルジュルネの短いステージでしたが、今年やっとハズレ続けていたアンヌ・ケフェレックのチケットを取ることができました。彼女の明晰で、18世紀のピアノフォルテのように聞こえるトリルがすごーく好き。人生は美しいと思わせてくれる音楽です。フランス的。ちゃんとリサイタルをフルで聴きたいです。他にバレエは、パリオペラ座の『シルフィード』イングリッシュナショナルの『海賊』など。オペラはほかに、ウィーン歌劇場の『トスカ』も見ることができました。ウィーン歌劇場は、アリアの間もおしゃべりを続ける観客や、シリアスな場面で笑う観客、椅子を蹴る観客など、客層のせいで、いまいち集中できず、印象が変わってしまって残念でした。しばらくの間は、ある程度仕方のないことかもしれませんが、欧州やロシアのオペラハウスやバレエシアターが、ここ10年ほどで急に観光名所化していて、クラシック音楽を楽しむマナーを知らない観客がとても増えているなあ、と思います。日本のホールで聞く演奏会は、音響、客層ともに恵まれています。ほんとうに。静かで、集中して聞ける。NHKホールはちょっと古いけど。

まぁ、他にもちょろちょろリサイタルや在京オケなど聞いているのですが、印象に残ったものだけということで。それにしても、オケになるとすごいボキャ貧になりますね、私。コンチェルトやシンフォニーよりも、もともと地味で小さな室内楽や器楽曲、それも独奏曲、特にピアノ曲が好きで、オケを良く聴くようになったのはここ10年弱なので、仕方がないですが。

でも、振り返るって良いですね。いろんなことを思い出しました。楽しい。美術展も振り返ってみよう。

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お題「2017年を振り返る」