鰹節研究1ー本枯節と荒節編

削りたて、ふわふわのカツオぶし。刃の調整と削り節の角度が大切

買った(←うれしい)と言いたいのを我慢して、自分に「どう、どう」「まだ、まだ」と言い聞かせて早2ヶ月、とうとう言いたい。

昨年、美味しい出汁が飲みたくて鰹節削り器を買った。←

そこからうちの鰹節は、枯れ節二本(腹節、背節)、築地の鰹節屋で量り売りで買ういつもの荒節(削ったやつ)の豪華三種類に(ほくほく)。そこで、使い分け方を自分なりにいろいろと研究中なのである。

「スーパーの削り節と違って、削りたての鰹節は味が違う、うまい」という人がいるが、それは嘘です。そもそも鰹節が違うから味も違うのである。鰹はまず焙煎、スモークして「荒節」になる。それを削って形を整え、カビ付けをして熟成・発酵させたのが「本枯節」である。家でごりごり削る硬い鰹節はこっちなのだ。一方、スーパーで売っている削り節は、まず「荒節」を使っているのである。削りたてだからではなく、本枯節だから香りが違うのだ。まぁ、わたしも去年知ったのだけど。

鰹節の扱い方から、削り器の調整の仕方まで、とてもわかりやすい動画もある。参考になります。

とはいえ、荒節がまずいということではない。焙煎、燻煙しただけの荒節は、「てやんでえ、おれがカツオだ」とばかりにガツンとパンチが効いた味がする。お好み焼きやたこ焼きの上で踊っていてほしいのは、陽気な荒れ節だし、ほうれん草のおひたしのかるいえぐみも、荒れ節の強い香りが消してくれる。枯れ節の出汁で作ったお蕎麦やうどん、どんぶりに盛り付けたあと荒れ節をこんもりかけると、旨味がダブルですごく美味い。ただし、荒節でとった出汁で、煮物と味噌汁とおひたしを作って夕食に並べると、「ぜんぶ同じ味」で飽きる。素材よりもカツオが前に出てしまうのである。←以前の悩み

一方、枯れ節で作った出汁は、旨味はあるんだけれど「カツオ、カツオ、カツオに清き一票をよろしく!」という主張の強さがない。裏からがっしりと全体を支える頼りになるベーシスト、穏やかなコントラバスの響きである。枯れ節でとった出汁で、煮物と味噌汁とおひたしを作って並べても、素材の味がちゃんと全面に出るから、同じ味にならない。だから飽きない。ちゃんと裏にいるけど、出しゃばらないのである。いぶし銀の味である。そして手削りの鰹節は、機械で削った荒節に比べてずっと薄い。花かつおより薄いかもしれない。枯れ節は硬いから、薄くしか削れないのだ。それで香りも味もすぐに出る。これがほんとうの一番だしなのだ。

あと、手削りの鰹節の、薄さゆえの良いところがもう一つ。機械削りの荒節のカンナ屑のような堂々とした存在感がないから、一番出し、二番だしにこだわらなければ、なんならこさなくても良い。ちょっと粉は出るけれども、そのまま食べても気にならないのだ。私が雑だから、ではないと思う、たぶん。わたしも、普段はまとめて削って、水出しでダシを引いているけれど、切れているときはささっと削ってどんどん材料をいれて、鰹節ごと食べてしまう時もある。雑だけどそれはそれで、濃厚で美味しい。

でも、最近特にお洒落系のカフェ和食や麺類の出汁が濃すぎる、と感じることがある。わりと。もしかしたら、だしの素の強い味で育った第一世代(自分たち)が厨房のメインに立っているせい?などと思ったりもする。出汁がきつすぎると、最初の一口は美味しいけど、しつこくて飽きるし、素材の味がわからなくなるのです。出汁はしつこすぎず、薄すぎず、さらっとスッキリが良いです。シェフのみなさま、生意気ですみませんが、そこんとこお願いします。

◼️鰹節削り器と鰹節のセット

いろいろ比べて買ったのは、本格的な作りながら、引き出しを省略したシンプルな作りでお値段控えめの鰹節削り器、けずりっ子。部品が少ないのは掃除もしやすくて、カビや虫対策にもなりそうだし、使いやすくて気に入っています。本枯節の背節と腹節がついたお得なセットがお手軽でお勧めです。

なんで研究1かというと、腹節と背節の使い分けはまだよくわからず、研究中だからです。腹節の動物っぽい味と香りを、あえて生かす使い方はなんだろう?いまいちわかりません。気がついたら書くかもしれません。1で終わりになりそうな気もします。腹節がなくなるまで気がつかなければ、どちらも美味しいけど、たぶん次は背節だけを買うことになりそうな気がします。誰か知っていたら、教えてください。