樫本大進×パーヴォ・ヤルヴィN響 オールフランスプログラム


冬のお散歩にて。貴重な色彩

一種の独特な身振りというか、ポーズみたいなもの。ちょっと薄暗い、アンニュイな雰囲気、親密な感じ。ポエティックな陶酔。五感で楽しむ美。エキゾティックな文化、新しいもの、アバンギャルドに興味津々。でも、どこか冷静。そして、すこしコンパクトなサイズ感。

意味不明な感じですみませんが、何かというと、わたしにとってのフランス音楽のイメージです。ステレオタイプかもしれないけれど、ただ五感で「いまのありのまま」の人生を楽しむ、という生き方に賛同できないと、なかなかフランス音楽は楽しめないところがあるような気がする。だから、くそまじめな日本人はドイツ音楽に惹かれがちなんじゃないでしょうか。わたしも人のことは言えないけれど。

週末のN響はオールフランス音楽プログラム。ベルリンフィルコンマスを務める樫本大進さんの人気のためかチケットは完売。会場は、人と熱気に溢れていた。

デュリュフレサン=サーンスフォーレのレクイエムの構成だったけれど、樫本さんのソロによるサン・サーンスのヴァイオリン協奏曲 第3番が圧倒的だった。樫本さんのヴァイオリンは気品に満ちた音、数年前に聞いた時よりもさらに充実して、堂々とされていた。本物の自分の道を迷いなくまっすぐ歩んでいる人の自信が満ち溢れている。まだまだお若いので、これからもっと引き出しも増えていくのだろうな。

ところで、サン=サーンスを聞くたびに、あれ、この人フランス人だったっけ?と思う。なんだかフランス的じゃない。かといって直情的なドイツ音楽でもないし、みっしり濃厚なロシア音楽とも似ていない。どこか透明で、不思議な明るさを感じる。今回は、スケールの大きさをも感じさせる演奏だった。N響デュトワの時とヤルヴィの時では、全然違う音を奏でますよね。

サン=サーンスという人は3歳くらいで作曲を始めたという神童で、ピアニストとしてのデビューは10歳。さらに音楽だけでなく哲学者、考古学者、天文学者、生物学者詩人、画家、戯曲作家などの顔を持ち、信じられないほど博学。そのせいか嫌味をだいぶ言い散らかして、最後には放浪(?)の末に異国アフリカで生涯を終えたという、かなりエッジが立った人だ。ある意味、生まれた場所にうまく適応できなかったのかもしれない。

でも、サン=サーンスから感じる、純粋な美の喜びみたいなものは、やはりフランス的なのかもしれない、とも思う。

デュリュフレも面白かったし、フォーレも美しかったけれど、ソリスト二方の歌声が、あの大きなホールの安い席では、すこし不安定に聞こえたのが残念。高い席で聞かれた方は違う印象を持たれただろうな。

大好きな、美しい第2楽章。アリーナ・イブラギモヴァによるみずみずしい演奏。

◼️サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番/第5番

今となってはなんだか古くなってきたけど、わたしの愛聴盤は、チョンキョンファのこの盤。匂い立つような演奏。