21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展

岡村さんの個展の隣の会場でタグチ・アートコレクション展が開催されていた。タグチ・アートコレクションはミスミの経営者であった田口弘氏の400点を超えるコレクション。そのうち今世紀に制作された作品70点が展示されていた。

コレクター展というのは、集めた人の個性が見えてなんだか面白いなあと思う。記憶に新しいところでは、精神科医高橋龍太郎さんのコレクション展はいかにも精神科医らしく人間の心に対する興味を感じさせたし、空間デザインの片山正通さんのコレクションは個性的でセンスがよく、それぞれ「らしい」なあと思わせるところがあった。

会場に入ると左手にジュリアン・オピーの大きな作品、正面に奈良美智が2点。村上隆の作品も目に入ってくる。内外の有名作家、新進作家の作品がいろいろで楽しめる。

テーマは「芸術とはなにか」ということで、フェルメールの絵画を絵葉書で再構築したり、絵画の裏側を細密に再現して見せたヴィック・ムニーズの≪デルフトの眺望≫や、青山悟さんの刺繍作品の美術の分類と楽しい批評の言葉などはいかにもテーマに沿ったもの。

紹介しだすとキリがないけれど、個人的にここ数年お気に入りの加藤泉さんのトーテムのような彫刻。杉本博司さんの海峡シリーズも一点。杉戸洋さんの可愛い油彩も一点。

ほかにも、セバスチャン・ディアス・モラレスの≪バサヘス≫は、ひとつのドアから出てきて歩いて行きもう一つのドアを開ける、という短いシークエンスを大量につないで巨大な仮想迷路空間を作り上げた作品。逆説的に映像の嘘の構造、映画やドラマの嘘の構造を暴いていたように見えて、個人的に興味深かった。

ほかにもあれもこれもそれも、あちこちで見たばかりの記憶のある作品もいろいろ(←雑)で、有名どころから、採りたて新鮮な今の作品まで見ることができる。

今更気がついたけど、いつのまにか日本人コレクター展が増えているような気が?まあベネッセとか森とか、古いところだと西武やブリジストン、もっと昔を掘り返せば西洋美術館の元になった松方コレクションなんかももともとプライベートだけど。ここで思ったのは、もっと自由で新しい新興コレクターのコレクション展。増えてません?

コレクション展を見るといつも、わたしだったら、どんな作家のどんな作品を「収集」するかなあと考えてしまう。予算が小さければ自分が楽しむための小さな作品を買うだろうけれど、巨額の予算があったら、自分の死後、作品を社会に還元するというか、残すことを考えるだろう。そういえば、数年前に見た台湾のヤゲオ財団のコレクション展(凄かった…)では、作品に値札!!がついていたっけ。

とにかく、巨額予算コレクションを作るとしたら、たぶん自分の好みよりも、何を残し、何を次の世代に手渡すべきか、ひとつの時代を表す作品はなんなのかということを考えるだろうと思う。その場合、コレクター(私・笑)の個性は薄まるだろうか、またはますます濃く滲み出ちゃうだろうか?(関係ないけど、日本の美術館にもっとクレーがほしい)

なにはともあれ今回の企画展、コレクターの個性をあまり感じない手触りだったのはテーマのせいだったのか、それともコレクターの意図もしくは個性だったのか?などと、つらつらと考えながら見終えました。

平塚市美術館にて、会期は6月17日まで。

GW旅行シリーズ、まだ続きます〜。

【出品作家】 青山悟、淺井裕介、マシュー・バーニー、ヨナス・ブルゲルト、ホセ・ダヴィラ、セバスチャン・ディアズ・モラレス、ナタリー・ユールベリ&ハンス・ベリ、トレーシー・エミン、マーク・フラッド、モリーン・ギャレース、五木田智央、ジョアン・グスマン&ペドロ・パイヴァ、キース・ヘリング、セクンディノ・ヘルナンデス、カンディダ・ヘファー、今津景、ハイヴィ・カーラマン、金氏徹平加藤泉川俣正小泉明郎、丸山直文、ライアン・マッギンレー、ミヤギフトシ、ジョナサン・モンク、リチャード・モス、ヴィック・ムニーズ、村上隆、オスカー・ムリーリョ、奈良美智、西村有、大竹伸朗、オスカール大岩、ヨーコ・オノ、ジュリアン・オピー、ジョルジュ・オズボルト、ロブ・プリット、ゲド・クイン、マリナ・レインガンツ、クリスチャン・ローザ、ウィレム・サスナル、さわひらき澤田知子杉本博司杉戸洋、鈴木ヒラク、照屋勇賢、トゥークラル&タグラ、マリオ・ガルシア・トレス、アンディ・ウォーホル、リネット・ヤドム・ボアキエ(特設サイトより転載)

画像参照:マシュー・バーニー《Ms. グッドヤー》1995 年 © Matthew Barney 平塚市美術館