話したいことはたくさんある。 アートや映画を見ているし、音楽を聞いて、本を読んでいる。 でも、と繰り返しているような気がする。もはや定番のグチですね。 あんまりブログ更新していないけど(汗)
だから、話せそうなことを話してみます。
少し前に、稲垣えみ子さんの「魂の退社」をついに読んだ。
奥付を見ると、2016年の6月に出版されているので、もう発売から2年経っている。今更感満載だ。本屋で見かけることも多かったし、アフロ犬を思い出させる大きなまあるい頭の下で笑う化粧っ気のない彼女の写真も目にして(すごいインパクト!)、存在も知っていた。それにどうやら本は売れていた。でも頑なに読もうとしなかったのは、ちょうど私が会社を辞めた年にこの本が出版されたからだ。
残念ながらこういう場合、天邪鬼な私はなぜかくるりと一回りして、目をそらし、見なかったことにする。
だってね、この本のタイトルを見た当時の私の頭のなかはこんな感じ。
「え?魂の退社?それって私が考えていることと似てるっぽい?誰かに「稲垣さんの影響」とか言われたらなんだか決まり悪いなあ、じゃあ読まないっと。←
ということで、我ながら面倒くさいけれど、時効ということで最近手に取ってみたのだ。いろいろと職を変わっている私と、生え抜きの朝日新聞社社員の彼女は比較もできないし、キャラもだいぶ違う(わたしは基本地味キャラ)。それでも、会社というもののなかで戦い続ける中年女の「なにやら辛い」感じは私なりにわかる。それから、それでも仕事っていいよね、というのもすごく共感する。
仕事っていいですよね。だって、わたしなんかでも、誰かのために、社会のために、自分の手で役に立ててると感じられる。ついでにお金ももらえてしまう。
読みながらいろいろと当時のことを思い出した。
当時、私は良いと言われている会社に勤めていた。何もなければ、定年まで勤めるんだろうなあというような会社だ。わたしも当然最初の頃はそう思っていた。
けれど40代後半のある日、気がついてしまったのだ。定年で辞めたあとのことに。定年で会社の肩書きが外れたあと、わたしは何になるんだろう?ただひたすらのんびり生きるって、何をすればいいんだろう?それが嫌ならば、自分は個人としてなにかができなければいけないのだ。
大企業の仕事は歯車だなあと思う。もちろんひとつひとつの歯車がうまく動かなければ全体は動かないし、ひとつひとつの歯車は大切なんだけれど、歯車になるということは、会社という機械やほかの歯車がなければ、ひとりではなにもできない部品になるということでもある。会社が大きければ大きいほど、自分が無力な歯車になっていくようで、わたしは不安で、自信なんかカケラもなかった。
それから、40代後半になって、そろそろこれから死ぬまでに、どれくらいお金が必要なのかが見えてきたというのも私の場合は大きい。というよりも、むしろそれほどたくさんお金が必要じゃないことが見えてきたのだ。
若い時は、いろんなものを体験してみたいものだと思う。私もそうだった。高価なレストランにも行ってみたいし、ステキな服もたくさん欲しい。いろんな場所に行って、いろんな体験をしてみたい。そのためにはお金が必要だ。
でも、年を取ってくると、自分がほんとうにしたいことや好きなことがすこしづつ見えてくる。そうすると、どのくらいのお金が必要なのか、どんな暮らしが必要なのか、それからなによりどれだけ時間が必要なのかが見えてくるのだと思う。
その時のわたしにわかったのは、要するにお金ってそれほど必要ないなということ、逆に時間がそろそろ少なくなってきたなということだった。それなら、もっと自分の時間を持てる、歯車じゃない仕事を、自分の好きなペースで一生続けたい。
自分が当時から今もずっと考えていることを書いたのだけれど、やっぱり本の言っていることと、どこか似ているのかもしれない。本を読むとすぐ内容を忘れるので、すでに詳細はよくわからないけど、似ているような気がする。でも50代になって人間が発見(←大げさ)することは、似ているのかもしれない、とも思う。
結局、死に向かって生きることが、本当に生きることなのだなあと、若かったころには絶対に思わなかったことを、ごく自然に、息をするようにいつも思っている。でも、不思議なことに、死を思えば、生きることはすごく自由で怖いことなんてほぼ何にもないんですよね。ほんと。

- 作者: 稲垣えみ子
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2016/06/09
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ところで最近疲れ目がひどく、ブルーライト用のメガネを探しに行ったのですが、度なしじゃなんだか勿体無いので(?)、ブルーライト用リーディンググラス(老眼鏡)を試してみたところ、疲れ目は老眼のせいだということに気がついてしまいました。いつの間にか!とうとう私も老眼です(涙)。老眼鏡、いやリーディンググラス(と最近は言うらしい)すっごい見やすいんだけど!(泣)