TOEICの学習でビジネスに必要な英語力は身につくのか?



このブログでは英語の話はしないと決めているんだけど*1、実はひさしぶりにTOEICを受験したのと、文句を書きたいのでこちらで。ぶつぶつ。

TOEICとは?そして不満

ご存知の方も多いと思いますが、TOEICという試験はもともと日本の経団連と当時の通産省が、米国のNPO団体に働きかけて作ったテストで、受験者も日本と韓国だけで8割(韓国では受験者が激減中)を占めます。言ってみれば、ほぼ国産で日本でしか有効じゃないみたいなテストです。実際、都内外資系企業の採用担当でさえ、外国人だとTOEIC?それなに?ということがあると聞きます。

とはいえ、日本で働いている以上は、日本のオジサマたちがそれしか知らないようなので、英語力の証明にはTOIECが必要になってしまう。英検はスルーでTOEICのスコアを求められるというケースも多いようです。マークシートのみのTOEICに比べ、英検のほうがスピーキングのテストもあるのに不思議。アカデミックとか難しすぎるというイメージがあるのかもしれませんが。そういえば、昔ネイティブスピーカーの英会話講師が英検一級を受けて、落ちていたのを思い出しました。なんでだったんだろう?質問が日本語で読めなかったとかかもしれません。でも、ほかにも国際的に通用するTOEFLケンブリッジ英検国連英検などもあります。なぜTOEICなのか?経団連通産省だから?

さらに、英検は合格すればそれで一回こっきり、資格が永遠に有効で経済的。一方、スコア制のTOIECは受験時期があまりに古いと難色を示されることもあるようです。頑張って良い点数をとったのにひどい。すこしでも数字を伸ばすために、年になんども受験する受験生も多いみたいなので、儲けるための資格商法としては最高でしょうけれど。

TOEICは発信力から受信力へ?

わたしの話をすると、前回TOEICを受験したのは約10年ほど前、スコアは900点代後半でした。満点はべつに欲しくなかったので、もうこれ以上はいいかなと受験をストップしました。英検は一級を持っています。

昔のTOEICはスコア制のためかテスト内容が英検に比べて非常に低レベルだったので、実を言うとかなり舐めていて、今まで通りなにもせずに受けたのですが、受けてみてわりと印象が変わりました*2 。かといって、良くなったというわけではないのですが。

今回印象が変わった一番の理由は、以前は毎回出題されていたストレートな文法問題のパターンがなくなったこと。文法に関しては個別の単語の用法や品詞などを問う問題が増え、読解問題は読む量とトリッキーな引っ掛けが増えた印象でした。わたしは時間内に終わらせてざっと見なおしもできましたが、以前に増して解き終われない方も多かったのではないかな。

でもこれをレベルが上がったと素直に喜んでいいものか?とも感じました。以前は、内容的に「バカにしてる?」みたいなところはあったものの、日本人が間違えそうな文法のポイントを素直に出題していて、テスト勉強自体が、発信するときに不自然ではない英語を身につけるのに有用だったのです。

要するに、基礎的な文法項目を復習すると簡単にごっそりスコアを伸ばせたのです。英語教育に携わっていた頃は、よく有名なマーフィーを、TOEIC対策の副教材にしていたのですが、短期間でスコアを飛躍的に伸ばすことがわりと可能でした。実際の会話ってそんな難しいこと言わないですしね。

今のTOEICに関しては、「これがわかったら簡単に点数が上がるよ」みたいな項目がまだ見えないでいます。品詞の使い分けくらいかなあ。これは昔から減っていないと思います。でもTOEIC対策のためには、単語を覚えるほかは、TOEICの過去問をたくさん解こう、みたいになってしまうような気がします。

あえて言うとすれば、TOEICはコミュニケーションの道具としてのシンプルな英語力を問うテストから、英語の「量」を受信する力を測るテスト、というなんだか勉強がいのない方向に変化したような気がします。まぁ、それでも短期間でスコアを伸ばすことはできるし、ついて来るなら伸ばすけど(←強気!笑)?

とはいえ、スピーキングとライティングのテストがあるから発信力はそっちで測ってね、ということなのかもしれません。TOEICは、Listening & ReadingとSpeaking & Writingに分かれたので。

でも多くの受験者がL&Rしか受験しないことを考えると、発信型の英語が求められているにもかかわらず、企業で求められるTOEICスコアは受信力だけ、というのが現実になっているようで、やっぱりなんだかな?という気がします。

かといって、L&RとS&Wを両方受験するのは、受験者にとって負担が大きすぎますしねえ。商売的にはそこを狙っているのかもしれませんが…?

必要なのはTOEICの点数か英語力か?

実務でだいぶ鍛えられた(要するに苦労した)ので、わたしの英語運用力は前回受験した頃より飛躍的に伸びています。今は基本的に会話で困ることはあまりありませんし、ニュースやYoutubeトーク番組レベルならほぼ字幕不要です(ニューヨーカー独特の早口はちょっと苦手)。とはいえ永遠にネイティブになれない一種の挫折感をずっと抱えて死んでいく予定ですが。でも、今回のテスト形式の変化でスコアが上がりそうな気がしない…。

電車の中やカフェでTOEICの問題集を必死で解く真面目そうなビジネスパーソンたちを見るたびに、TOEICの高得点をとる勉強を必死でやっても仕事で必要な英語力をつけるにはどうかなあ、と思ってしまいます。でも、S&Wを勉強する暇なんてないですよね。

ほんとうは最初から受信・発信バランスよく、使える英語を学べれば良いには越したことはありませんが、発信はなかなか相手がいないし、そこで一種のトラウマみたくなってしまう人もいるので、まずは受信のほうから入っていくのは悪いことじゃありませんが。

まあ昔からよく言われていることだけれども、TOEICテストで英語力は測れないのです。それなのに、いつのまにかTOEICが昇進の条件とか、TOEICが一大産業みたいになっている現状を見るにつけ、もやもやしたものを感じてしまうのです。

ということでもやもやを吐き出したので、ちょっとすっきり。上でも触れた超おすすめの使える英語を学べると昔から定評のあるマーフィーの "English Grammer in Use"は下掲。初級編、中級編と上級編があります。へんな教材をたくさんやるよりも、これ1冊、いや3冊が100万倍おすすめです。中学の教科書よりずっとわかりやすくて、おもしろい!

では、今日も点数よりもほんとうの力をつける、充実した1日を!

◼️マーフィーのケンブリッジ英文法(初級編)第3版 (Basic Grammar in Use)

◼️マーフィーのケンブリッジ英文法(中級編)第3版

上級編は日本版が出ていないので、こちらの洋書を入手してください。昔は日本版が出ていなかったので、初級からすべて原書でした。

注的なもの
1:なんだか語学系の話と、アートじゃあんまり距離が遠すぎて自分の中でも違和感があるんですよね。あと、昔英語教育に携わっていたせいもあって、自分の人格が変わってしまう(というか違うお面をかぶってしまう、笑)。でも普段言えない文句をこっそり言ってみました。
2:そのほかTOEICの大きな変化として、受験生の動向にも変化がありましたね。以前は女性受験者のほうがずっと多かったのですが、現在は男性のほうが多いようです。全世界(ほぼ日韓だけど)のデータで見ても、現在は、なんと受験生の5割強が男性受験者。それだけビジネスの世界で英語が不可欠になってきているのだなと感じます。